砂雪隠 

福井市の養浩館を訪ねました。別名お泉水屋敷。回遊式林泉庭園で、昭和57年に復元されたもので、
広大な庭園と数奇屋造りの建物がすばらしく、駅の近くと思えないほど静かなところです。
この建物の中に大変珍しい(と勝手に思っているのですが・・・)お湯殿と砂雪隠が復元されていて、
なぜかトイレにこだわっている私にとっては、大変うれしいところでもあります。



お湯殿というのは、もちろんお風呂のことで、砂雪隠というのはトイレのことです。
禅寺では、東、西、南、北、のトイレにそれぞれ名前がついていて、
東司(とっす)、西浄(さいじん)、登司(とす)、雪隠(せっちん)、といいますが、砂雪隠というのは、
お茶席の庭にあるトイレのこと。別名 飾り雪隠ともいわれています。






養浩館の入り口近くにある砂雪隠の外観。パンフレットが無いのでわかりませんが、細い古木を
使った建物を想像していたのですが、こうしてみる限り、かなり現代的な建物ですね。入り口の高さはかなり低くて、
1.4mぐらい。侘びの精神が生かされているので、お辞儀のように頭を下げて中にはいるようになっています。 







内部は坪庭のようですがこれが実はトイレ。右上の丸い石はチリ穴(ごみ入れ)。
小便返しが(石)が、チリ穴の下の石だとすると写真右に向かって用をたすことに
なりますが?誰か教えてください。


本によればこのようなトイレは、利休好みのトイレといわれているそうで、
小田原城に籠もった秀吉のために、利休が考案したもの。
主に小便用に使うそうです。
実は、大便器用に使うトイレもあって、こちらのほうは下腹雪隠といい、
不白好みといわれています。真ん中に 穴を掘って瓶を埋め、中に切りわら
を浮かべて、上に4本足の台を設けたもの。



さらにいえば、片流れの屋根で、片木戸を用い、中に幅1尺、長さ2尺2寸
ほど石を設けて穴を掘り、中に砂を入れ、紙を数枚敷く。さらにその上に砂をかけ、紙の一片を上に出しておいて、
用が済んだ後、紙とともに捨てる、とあります。このトイレと多少違うところもありますが、展示用ですからこれで
いいのかもしれないですね。トイレもここまでくると芸術ですね。





唐はぶの建物がお風呂。いわゆる蒸し風呂で、後ろに釜場となる土間があります。
江戸時代に戸棚風呂というお風呂があって、このような形をしていますが、湯船がついています。
現代的に表現するなら、写真のお風呂はサウナ。戸棚風呂は家庭用のお風呂ということができるかも知れません。
もしかすると戸棚風呂こそユニットバスの原点かも知れないですね。
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