トイレ考    NO 7
蔵六園 お殿様の御閑所
石川県橋立町の北前船主の館。
このトイレは前田公の専用トイレで木製の漆塗りの便器。人目を盗んでしゃがんで見たが、殿様になった気分だ。大きな下地窓と下の小窓は今後トイレを作る上で大いに参考になる。小窓から横に伸びる幅木に安定感があって、落ち着いた雰囲気になっている。中の便坪を覗くと浅い漆塗りの鉢のようなものを置いてあったが、以前に来たときは確か樋箱だったような気がする。だとするとちょっと残念。いずれにしてもお殿様の落としたものをそのままにするということは考えられないので、今のような状況でなかったかもしれないですね。小便器の下の石は多分大理石だと思うのですが、今見ても違和感がないですね。この時代に汚垂れ石を使用していたとは驚きです。歴史は繰り返します。トイレを見て歩くのは、この発見に出会うためなので、そういう意味で貴重な資料といえますね。江戸時代中期から明治中期まで殿様専用のトイレとして使われていたそうです。
なんといっても大きな下地壁。この時代にしては、窓を大きく取ってある。左の脱衣かごは着物を脱がないと用を足せない雰囲気が伝わって来る。やはり下々のトイレとはちがいますなぁ。
意匠を尽くした天井の下がり壁。ここの庭園は全国の銘石を配した庭でトイレだけの画像で申し訳ない。蔵六というのは、「亀」の事で頭と手足、しっぽ、を内側にしまい込むので蔵六と言うんだそうです。豪華絢爛の北前文化を堪能できます。

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