加賀藩千石預り肝煎役(庄屋)の館
多川家
白山市の広大な農村地帯を東に車を走らせると、うっそうとした木々に囲まれた多川家が見える。屋敷は約1200坪。豪農の館の所在地としてはふさわしい地であるが、変わりゆくこの時代にあって、おそらくは江戸時代に建てられたにもかかわらず、周辺の変化を見て取れないのは、よほどの権力があったか、周辺の自分の土地があまりにも広大すぎたか、大半の古民家は市内の一角にあることを考えると、かえって不思議な気がする。

ここは当時の台所。展示品が
驚くほど多くて、ほとんどの
台所用品が残っているので
はないか。台所の2階に女中部屋がある。
奥の茶室付近にある風呂。たぶんお客様専用の風呂だ。正面に衝立があって、写真右側に浴槽があったのではないか。
当時の風呂としてはかなり広い。古民家の風呂はたいていの場合「にわ」の片隅にある。来客専用の風呂ともなると、檜の板張り、床は石づくりだ。
風呂の横がトイレ。もちろん来客専用のトイレ。真ん中にあるのは手洗い鉢。小便器は大便所の右横。茶室の砂雪隠の様な作りだが、その根拠が手洗い鉢の左横の小穴。ちり落とし風の排水溝だ。かなり前この多川家を訪れたとき、大便所内は解放してあったのだが今は見ることが出来ない。それならば外から写真を取ろうと庭を回って愕然となった。実はこの大便所の落としは篠箱が入っていたのだ。それを写真に納めようと今回訪れたのにブロックで埋めてあった。。私の知る限り篠箱のトイレは多川家、無限庵、蔵六園の3カ所だけだ。いずれも見ることが出来ない。残念。
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