東福寺の東司
もっとも有名な重要文化財の便所。妻入りから入ると中央に広間があり、陶器制と思われる便坪が左右に並んでいる。右側が大便所で9カ所ありその奥に6カ所の手洗い所がある。左側が9カ所の小便所と2カ所の手洗い所がある。間仕切りは一切なく、整然と並んだ便坪を見ていると、どうやって用を足すのか不思議に思える。格子窓から写真を撮っていたが、危うくカメラを中に落としそうになった。冷や汗ものであった。
中の絵は修行増の手洗い風景だと思うが、清潔を保つ様子がよくわかる。説明文を撮ったが、アップにしても字が読めずがっかり。本で引用する。
便所に入るには厳格な作法があって、「まず法衣を脱いでよくたたみ、黄色の土団子を用意する。つぎに水桶をとって右手に提げて厠に上る。厠の前でわらじに履き替え両足に台を踏み、うずくまって糞をする。このときあたりを汚したり、笑ったり、歌ったり、つばをはいたり、落書きをしてはいけない。用が済んだら紙か糞ベラで拭き、きれいな物と混同させないこと。右手で水を散らさない様に流して小便と大便をよく洗う。手洗い所にかえって手を三度洗う。ついで灰で三度、土団子で三度、サイカチで一度、その後改めて水や湯で手を洗う。」というようなことが書いてあると思うのですが、どう〜です、ものすごい作法だと思いません?

糞ベラとは竹で作った細い棒状のもので長さ24cm。木で作ったものを「チュウギ」とかいうそうだ。

汚れた便所を清掃することは功徳とされるのもこのことからかもしれませんね。(厠まんだら、日本トイレ博物誌)より
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